サブスク公務員と光の定時退庁者

意外と少ない現役の役人ぶろぐです。

調べさん家のひんやり飯

今週のお題「ひんやり飯」

まだまだ夏が暑いです。

今の時期に熱々なんて好んで食べようとは思いません。

そうは言っても、食事を取らなければ人はやがて死にますから、貧しい調べ家では毎日ご飯を炊く必要があり、ご飯は炊くと熱々なのは仕方のないことなのでした。


ある日の晩も、私は夕食の準備でご飯を炊いていました。

熱々は抵抗あるなーと、暫くおかずを炒めながら何か良い解決策はないか思いを巡らせていたのですが、長考も虚しく、ご飯の盛りつけが終わった後も名案は全く浮かんでこないのでした。

そんなとき、ふと部屋の端からゴオオオオオと音がしていることに気づきました。

音の正体は冷房でした。

私とご飯は冷房の直線上にあり、冷房はずっと私とご飯に冷風を送っていたのです。

冷風は心地よく、遠い記憶を思い出させました。

目を瞑ると、視界に放課後の教室が浮かんできます。

窓際に少女が立っているようですが、夕焼けで少女の顔がよく見えません。

「自分にまで嘘をついてはだめ。いつか本当の自分さえ見失っちゃうよ?」

私はそこで目が覚めました。

冷房は絶えず、私とご飯に冷風を送り続けています。

私はそっとご飯をつまみ、口に入れたのでした。

「、、美味しい、、、、」

ご飯を冷ますことによって、熱々では感じられなかった甘みがより強く際立っています。

これが後に「ひんやり飯」と呼ばれるご飯との最初の出会いだったのです。